自分でもよくわからないけど、心はぐちゃぐちゃだ。
要くんはなにも言わずに頬に優しく触れてくれる。
「俺のこと殴らねぇの?」
冷たい声が響く。
翔ちゃんのこんな声は聞いたことがない。
でもその翔ちゃんでさえ、すごく寂しそうに震えている気がした。
「むかつくけど、殴んねぇよ」
ぼやけた視界では要くんの顔がぼんやりとしか見えない。
瞬きをして一瞬クリアになると、普段と変わらない表情の要くんだった。
「おれに優乃は幸せにできねぇとか言ってきたくせに、お前は優乃を泣かしてんじゃねぇか。とは思うけどな」
「え……」
なにそれ、聞いてない。
翔ちゃんは要くんにそんなこと言ってたの?
まったく知らなかった。
「優乃に嫌われて忘れようとか楽すんじゃんねぇよ、クソガキ。優乃につらい思いさせんな」
「……わかったようなこと言ってんじゃねぇよ」



