「つけないほうがよかったですかね?」

「優乃がおれのためにかわいくしようとしてんの、うれしいからいいよ」

「ほんとですか!わたし、もっとかわいくなれるように、要くんの隣に立っても恥ずかしくないようにがんばります」

「いや、十分すぎるからそんなにかわいくなりすぎるなよ。おれも心配になる」



頭を抱えるようにわたしを包み込んでくれた要くん。

シャツ越しに伝わる温度や鼓動に、わたしの心音が暴れて仕方ない。


ドキドキばかりしてわたしじゃないみたいだけど、離れたくない。



「夏休み、花火大会行きませんか?」

「いいよ。てか優乃が行きたいと言うと思って親父にもう許可とった」

「え?」

「再来週、おれん家の別荘に泊まりにこねぇ?」

「えぇ!」



要くんの温もりの余韻に浸っていたけど、驚きすぎて顔を上げ要くんを見つめた。

にこっと微笑む要くんに、わたしは何度も頷く。


大好きな初めての彼氏と初めて過ごす夏。

夏休みがもっと楽しみになった。