「すごくいい香りだけど、柔軟剤?」
「いや、香水。でも花咲さんはいまのままのほうがいいよ」
「どうして?」
「キャラ的に。ナチュラルを全面に出したほうがいい」
「そうなんだ、わかった」
香水はつけたことがないけど、わたしにはまだ早いってことかな。
ナチュラルってなんだろう。
でも、そう言われるならきっとそうなんだ。
「あ、でもこうゆうのはたまにつけてもいいかも。それで伊月先輩に迫れば、ぜったいドキドキするよ」
ポケットからなにかを出す。
それをわたしに差し出すから手を伸ばして受け取る。
「このグロス、色が薄くてあたし使わないからあげるよ。この前のお詫びってことで」
「え、べつにそんな怒ったりもしてないけど」
「いいのいいの。じゃ、お幸せに」
「あ、ありがとう!」
お礼を言うとまた小さく笑って、先に教室に入っていった。
手の中にあるグロスを見つめる。
本当にいいのかな。
でも、これかわいい……。



