わたしの勢いにふっと笑みを浮かべて、頭に手をぽんと置かれた。
大きく跳ねあがる心臓。
気持ちを落ち着かせようと呼吸を整えていたのに意味がない。
「苗字をとって」
「か、要先輩……」
「先輩とって。同じ目線でしょ?」
「あぅ……」
「優乃」
どうしてこんなに緊張するんだろう。
先輩に見つめられながら、頭に置かれた手がゆっくりと下がりわたしの髪を細くて長い指で梳く。
ドキドキしないなんてありえない。
だけど、名前で呼んでほしいって言ってた。
恋人って名前で呼び合ってるイメージが強いもんね。
これでまた一歩、彼女らしくなれる気がする。
「か、」
「うん?」
先輩が楽しそうな表情で先を促す。
髪の先までたどり着いた指は、シャツ越しに鎖骨を撫でる。
その指はゆっくりと首筋を上がって顎に到達した。
「か、要く…っん」
「……悪い、かわいすぎて我慢できなかった」
一瞬、触れたやわらかい感触と温もり。



