ドアから顔をひょこっと出して覗いてみる。
そこにはやっぱり、わたしが昨日ジュースをかけてしまった美形の先輩。
カッターシャツにセーターでブレザーは着ていない。
いちおう衣替えはまだだからブレザーを着ている生徒ばかりなのに。
申し訳なさすぎる……。
「あの、先輩……」
言い合いをしているふたりに声をかけると同時にこちらを向いた。
「ごめんね、いま説得中で……」
「……花咲、優乃?」
「あ、はい。名前、覚えてくださったんですね」
「どうした?」
わたしに気づいた先輩はすぐにメガネの先輩から離れてわたしの前に来る。
首を傾げて不思議そうにしている先輩に紙袋からブレザーを出して見せた。
「ブレザー洗ったんですが、わたし下手くそでしわしわになっちゃいまして……」
「いいよ、ありがと」
にこっと微笑んでくれる先輩は優しすぎる。
さっき聞こえてきたけだるげな声や口調と違い、わたしが昨日話した先輩だ。



