一礼してスタッフがこの場から離れると優乃が小さく息を吐いた。
正面に座る優乃を見つめる。
「す、すみません。こういう場所は初めてで……」
「周りの目とかないから気にしなくていい。ふたりの空間つくってもらってるから」
「でも、どうしてですか?」
「優乃と付き合えた記念。最高な日をもっと最高にしたいから、優乃ともっといたかった」
あ……やべ。また無意識にらしくないこと言っちまった。
優乃の前ではかっこつけようとしても、どうかっこつければいいかよくわかんねぇ。
ドーテーみたいなこと言った、まじでダサい……。
でも、とにかく甘やかしたい。
優しくしたい。
優乃に楽しんでもらいたい。喜んでもらいたい。
それだけで気がついたら言葉にしていた。
「先輩……うれしいです」
かっこつけられないおれなのに、優乃は本当にうれしそうに微笑んでくれる。
……いいや。
おれはこれでいい。
優乃が喜んでくれるなら、らしくないおれのままかっこつける必要はないな。
むしろ、これが本当のおれだったのかもしれない。



