昇降口で靴を履き替えて待つ。
その間も話しかけられたような気がするけど、テキトーに返したから記憶にない。
「先輩!早いですね」
鈴の音のようにかわいい声が聞こえる。
けど、それよりも前から優乃が歩いてきていることには気づいていた。
「待たせちゃってすみません」
「いや、おれが待ちたかっただけ」
「わたしも早く会いたくて急いだのになぁ……」
は?
かわいすぎじゃね?
ぼそっと呟くように言った言葉を聞き逃すわけがない。
照れたように、だけどむすっと悔しがるような表情。
かわいすぎるだろ。
「行きましょうか」
靴を履き替えた優乃がおれの正面に立って笑顔を向けた。
やばいだろ。かわいすぎてやばい。
心臓がドキッと大きく音を立てる。
こんなことになるのは優乃だけだ。
「あぁ」
優乃の前でかっこ悪いところを見せるわけにはいかないから、平静を装って返事をした。



