まぁ、連絡なくても待ちきれなくて優乃の元へ行こうとしてたけどな。

場所がはっきりわかったのはありがたかっただけだ。



「それで、花咲さんと付き合うことにでもなった?」

「あぁ」

「よかったね。ほら、これ」



感情のこもっていないような淡々とした話し方に、いちいち腹を立てても仕方ない。

それ以上にいまのおれは幸せにあふれているからな。


気分がいいから七海が見せてきたスマホを見る。

そこには、優乃とさっきの女が。



「は?盗撮?消せよ」


ほかの女は正直どうでもいいけど、優乃が映っているのは許さない。

おれ以外の男がデータとして持っているのはありえねぇだろ。



「あとで消すからまず見てよ」


5限の始まりのチャイムが鳴ったけど、まだ担当教諭は来ていない。

それをいいことに雑談で騒がしい教室。


おれは言われた通り、七海のスマホを見る。

画面には優乃と名前の知らない女の会話の様子が流れていた。