「……え？」
いま、おでこにちゅって……。
理解すると一度落ち着いた熱が再び上がってくる。
先輩はいたずらに微笑んでいた。
「ほんとはこっちにしたかったけど、優乃には本気だからすぐにしない。本気を見せたいから」
「っ、」
わたしの唇を指で優しくなぞるとその指が顎にきて上を向かせられる。
驚きと緊張で固まってるであろう表情。
そんなわたしを見て笑みを深める。
「また今度な。……おれが我慢できるかわかんねぇけど」
まだ感触が残るおでこに触れる。
たしかに触れた。
先輩の唇が。
“ほんとはこっちにしたかった”って、してもよかったのに……なんて。
「行こうか」
「は、はい！」
わたし、なに考えてるの……。
自分の思考に驚いたけど、先輩がわたしの手を握るからすぐに意識が絡まる指先に集中した。
恥ずかしいけどうれしい。
それはぜったい、恋をしているからだね。
