耳元で囁かれた言葉は熱くて甘くてとろけそう。
「優乃が好きだ」
もう一度、言葉にするとゆっくりと体が離される。
こんなにドキドキするのは、やっぱり伊月先輩にだけだ。
「優乃、おれと付き合って」
「っ、はい!」
「よっしゃ。もう優乃はおれの」
甘く微笑んだ先輩にわたしも微笑み返した。
うれしくて、心があたたかくて、恋だと気づいたばかりなのに、それはもう気づかない間に膨らんでいたのだと知る。
気づいた瞬間、あふれてしまう。
「もっかい、ぎゅってして、いいですか?」
「喜んで」
両手を広げた先輩の腕の中に再び飛び込む。
強くて温かくて、ドキドキするけど心地よくて。
幸せだなって心から感じた。
それから先輩とお弁当を食べながらたくさん話した。
好きだと自覚した瞬間を聞かれて、ついさっきのことをありのまま伝えた。
照れくさかったけど、先輩は本当にうれしそうに聞いてわたしの頭を撫でてくれた。