どこまで私のことを知っていて、こんなことを言い出したのか……。
心の奥がざわめいて、落ち着かない気分になる。
「あの……、話があるって言ってたよね……?」
「ああ、うん」
「なに……?」
「この時期いつも高校の同窓会みたいなのをやってるんだけどさ。若月も参加しないかなーって」
「同窓会……?」
「……橋本とか遠藤たちが一緒だったら若月も同窓会に来たり、しない?」
橋本香織と遠藤由里奈は、私が高校三年生の時に特に仲が良かった友達だ。
あの頃の私は、常に彼女たちと一緒にいた。
とても、とてもお世話になった大切な友達だ。
大学の頃は時々会ってたけど、お互い社会人になって、忙しくなって……連絡だけは時々してるけど、しばらく会えていなかった。
会いたいけど、でも……。
「ごめん、同窓会とかそう言うのは、私はちょっと……」
「うん、だよな。そう言うと思った」
「……ごめん」
「いや、全然謝る必要ないから」
本当に気にしていなさそうにカラッと笑って、ビールを喉に流し込む奥瀬くん。
私の中では奥瀬くんはまだ高校三年生のままで止まっていて、そんな彼がビールなんて言う大人の飲み物を普通に美味しそうに飲んでいることが、なんだか違和感でしかない。
私もそんな風に見えていたり、するんだろうか。



