とにかくお風呂に入って、……でもやっぱりまたお風呂で泣いて。
お風呂上がりの私の顔は案の定、とんでもない顔になっていた。
濡れタオルで目元を冷やして……腫れは少しだけマシになったけど、泣いたことはバレバレだろう。
目の前のスマホが、メッセージの着信を告げる。
【お店を出ました。あと15分ぐらいで着きます】
私は【お疲れ様でした。気をつけて帰ってきて下さいね】と返信をして、再び目元を冷やす。
あと15分……。
まだ完全に涙の引かない私の瞼は、15分経ってもきっと腫れたままだろう。
「あー、なんで涙、止まらないかなぁ」
目元に乗せた濡れタオルが落ちないように、上を向いたまま呟く。
15分なんて、こんな時ほど、あっという間。
諦め悪く冷やし続けていると、玄関から伊吹さんが帰宅した気配がする。
私は目元のタオルを慌てて外し、玄関へと急いで向かった。
「伊吹さん、おかえりなさい」
「ただいま」
どんなに仕事が大変でも、どんなに帰りが遅くても、伊吹さんの綺麗な顔はいつも変わらずに綺麗なままだ。
ふわりと微笑んだ後、その綺麗な顔がすぐに曇った。
そして、伊吹さんの大きな右手が、私の頬に優しく触れる。
「っ!?」



