「……ああ、そうですよね、一緒では心配ですよね?」

「えっ? いえあの、そう言う意味では、」

「お貸しする個室には鍵をかけられるようにします。それでしたらどうですか?」

「ええっ? え、っと……」

「……ダメ、ですか……?」


彫刻のように整った顔を少し悲しげに曇らせて私を見つめる篠宮さんを見てしまうと、私がものすごい悪人のような態度を取っているように思えてしまい……。

結局、しばらく一緒に住むことを了承してしまった……。

茫然とする私を余所に、篠宮さんはなぜか少し嬉しそうだ。


……どうしてこんなことに?


いや、私にとっては悪いことではない、むしろ仕事も住む場所も決まって、本来なら何の心配も無くなったと喜ぶべき所だ。

だけど……、

想いを寄せている男性と同居することになるわけで……。

それに仕事も、私なんかに務まるのかなって、やっぱりまだ少し心配だし。


不安を含んだまま、時間だけが淡々と過ぎていく。

そして、この同居がやはり後々とても後悔することになるのだった――。