「――…先輩、どうしたんですか?」
オレの突然の訪問に
イブキは驚いていた。
白い半袖のシャツワンピースを着たイブキは、華奢で可愛い。
「……近くまで来たから、昼間のこと謝ろうと思って、迷惑かけてごめん」
袖から伸びる白く細い腕には、無数のアザと傷があった。
それを隠すように
腕を後ろに回して
イブキは小さく頭を横に振る。
「いいえ……」
「お詫びに、何かオゴろうと思って……」
ぎこちない空気が少し気まずくて、オレは頭に置いていた手で、自分の髪の毛をぐちゃぐちゃにかき回す。
「……もう、食べましたから、それに」
「……それに?」
「また、勘違いされると先輩が困るでしょう?」
イブキは、うつむいたまま言った。
「困る訳ない!! オレから誘ってるのに」
彼女は困った顔をして、オレを見上げた。
「……なんで、私に構うんですか?」