あやかし戦記 裏側の世界へようこそ

「綺麗な花が咲いてるって聞いたのに……」

「危うく遭難するところだったじゃないか！ついてきてある意味正解だったよ！」

「ごめん！悪かったって！」

文句を言うイヅナとヴィンセント、そして謝るレオナードを見て青年たちが笑う。そして、イヅナたちの気持ちが落ち着いたところで青年たちからフルール族のこと、旅の出来事など、たくさんの話を聞かせてもらった。

青年たちの話は面白く、時間はあっという間に過ぎていく。しかし、そろそろバンガローに戻らなければならない。

「またお話を聞かせてくれませんか？」

帰る間際、イヅナは青年たちにそう訊ねた。青年たちはニコリと笑い、「明日また来いよ」と言う。

また明日話せる、そうイヅナは信じていた。イヅナだけではない。レオナードもヴィンセントも、彼らと笑って話せると信じていた。

無事に明日を迎えられる、その保障などどこにもないというのに……。



バンガローに戻ってから、イヅナたちはみんなでバーベキューを楽しみ、午後も山の近くを散歩して過ごした。