あやかし戦記 裏側の世界へようこそ

レオナードがそう言うと、「ひょっとしてあの場所か？」と青年たちは顔を見合わせる。そして、青年たちの口から言われた言葉は、イヅナの心に雷が落ちたようなショックを与えた。

「何か、花畑っぽいところはあったんだけどもう散っていたぞ」

「えっ！？」

イヅナだけでなく、レオナードとヴィンセントも声を上げた。イヅナは綺麗な花が見れないショックで、レオナードとヴィンセントはここまで歩いてきたのにという感情から声が出たのだ。

「散った花を見ても嬢ちゃんは満足しないだろ？」

「俺たち、今日はこの山でキャンプするんだ。よかったらテントの中で話そうぜ」

青年たちに連れられ、イヅナたち三人はせっかく登った山道をまた戻っていく。そして、イヅナたちが泊まるバンガローの数キロ手前に青年たちはテントを張り始める。彼らのテントは真っ白でレトロなデザインのものだ。七人で一つのテントを使うようで、とても大きい。

「さあ、中に入ってくれ」

青年の一人に背中を軽く押され、イヅナたちは中に入る。テントの中に腰を降ろした瞬間、ヴィンセントとイヅナが口にしたのはレオナードに対する文句だった。