あやかし戦記 裏側の世界へようこそ

「へえ、君よくそんなこと知ってるなぁ〜」

「最近の子は頭いいんだな」

「おい、そんなおっさんみたいなこと言うなよ。俺たち、この前成人したばっかだろうが!」

フルール族の青年たちはそう言い、笑い合う。ヴィンセントの言葉は大当たりだったようだ。知識の豊富さにイヅナは驚き、レオナードはつまらなさそうに空を見上げる。

「嬢ちゃん、俺たちの家紋見るか?」

イヅナがジッと彼らを見ていると、青年たちが腕を見せてくれる。彼らの腕にはそれぞれ美しい花が咲いており、イヅナは一つずつ花の名前を口にした。

「朝顔、ローダンセ、ひまわり、ステファノティス、桜、アネモネ……。とても綺麗ですね。花が家紋だなんて、羨ましいです!」

「嬢ちゃん、花に詳しいんだな」

「花の種類、全部言える奴はなかなかいなかったぞ」

青年たちが驚き、感心する。そこに空を見上げていたレオナードが話に入り込んできた。

「こいつ花が大好きで、今から花畑に行く予定なんすよ。ほら、この先にある青い花が咲いてるところです」