僕はそう考えながら、お味噌汁に口を付けた。



「……あれ?」

朝ご飯を食べた後、リオンとエリカさんと一緒に、昨日の夜にオズワルドさんから渡された僕の書いた『それは、綺麗な青色だった』の本の中に入ったはずなんだけど……。

気が付いたらリオンとエリカさんはいなくて、僕は1人でどこかのビルの屋上に立っていた。

「ねぇねぇ!」

空から声が降ってきて僕が顔を上げると、柵の上には水色の髪に青い目をした、水色を基調にした可愛らしい男の子が立っている。

「君は?」

僕が問いかけると、男の子はふわりと笑った。その笑い方は、僕の前世の幼なじみと似たもので……。

「……僕はメルキュール。異世界から転生したんだ」

そう言いながら、メルキュールは柵から飛び降りると僕の目の前に着地する。

「……久しぶりだね。太宰 修也(だざい しゅうや)」

「え……?」

突然のメルキュールの言葉に、僕は驚いた。メルキュールは、無言でにこにこと笑っている。

「……あれ?僕のこと、覚えてないの?悲しいなぁ……何も隠してないんだけどねぇ」

そう言って、メルキュールはクスクスと笑った。

「……間違ってたら、怖いなって」

僕がそう言うと、メルキュールは「相変わらずだね。修也は」と笑顔を崩さずに僕を見つめる。