ゲームをするにあたって僕たちと舞花の間にはルールがあった。


 宿題や習い事の練習などを終わらせてから。

 時間は三十分間。

 プログラミングゲームの場合は一時間。


 好きなことをするにはまずやるべきこと、守るべきルールを守るのが当然だ。

 社会に出てからそんなこともできない人間になってほしくなくて、そうルールを決めた。

 だけど僕たちは、今の舞花には何も言わなかった。

 ただ一つだけ約束をした。

 日常生活に支障が出ないようにするのが条件だった。

 例えば、ご飯を食べないとか、寝ずにやるとか、人間の生活ができなくなるのは良くないと思ったから。

 そして僕たちとした約束を、舞花はちゃんと守った。

「もうちょっと」と言ってやめないこともあった。

 以前の僕たちはその言葉を信じて待っていられるほど利口な親ではなかった。

 一分過ぎただけで激しく叱責し、ゲームを取り上げていた。

 だけど今の僕たちは、彼女の「もうちょっと」に対して何も言わずに待った。

 すると、舞花は本当に「もうちょっと」したら自分からやめた。

 彼女が「もうちょっと」と言ってから、ほんの数分後のことだ。

 僕たちはそんな舞花の姿に呑気に感心していた。
 
 そして僕は自分の行いを振り返った。