抱きしめる身体の大きさに父さんを重ねてたまらなく切なくなった。


情けないと母さんに尻を叩かれ続けた父さん。


父さんの葬式でも涙が出て来なかったというのに、頬を伝う熱い苦しみはとめどなく流れてくる。


「……あと四ヶ月。三月になったら俺と…………。
桜……美咲の母親にも、きちんと言うから。
だから、あと四ヶ月たったら…………。」


貴一さんの言葉に、今度はあたしが力を入れて返した。


「ずっと、好きだったんだ。
年も職業も思い浮かべて自制しようとしたけど……駄目だった。
それ位、焦がれてたんだ」


震える貴一さんが必死に想いを伝えようとしてくれるのがわかる。


あたしに欠けている、真摯な想い。


「ありがとう……。」


あたしが眠ってしまうまで、ずっと抱きしめ合ったままだった。


人の温もりを感じたのは、いつぶりだろう…………。


貴一さんの優しさが、胸いっぱいに拡がった。


……うん、もう少し、頑張れそうよ…………。