「……今度の土曜日か日曜、暇な日でいいから付き合ってほしいんだよね」

「え?」

「いや、ほんとに大したことじゃないから安心して。俺の親戚の人が新しくカフェオープンしたけど、客足があんまりみたいで、誰か宣伝してくれそうな友達いたら連れてきてくれって言われてて。くるってほら、インスタとかやってたじゃん?」



……待って待って待って。真咲がきょとんってするから言い訳みたいにあれこれ付け加えたし、焦ってくるって呼んじゃったし、もう本当に今頭を抱えたい気分。そんなことまでやったら本気でヤバいやつだからやらないけど。


恥ずかしさと情けなさで真咲の顔を見れずにいると、「なんだ、そんなこと」と笑い混じりの声がした。



「いいよ。カフェ好きだし」

「……ほんとに?」

「うん。っていうかこのくらい賭けなんかしなくても普通に協力するのに」


そう言われると嬉しいような、残念なような。だってふたりで一緒に行くんだから実質デートなのに、まったく意識してる素振りない。


不思議そうな顔で俺を見てる真咲に、ちょっとだけムッとしてしまう。



少しくらい、意識してよ。俺だって男なんだから。



「……だって、デートなのに普通に誘ったってつまんないじゃん」



嘘だけど。完璧にこんなの後付けの理由だけど。