高校生活における3年間なんていうものはあっという間で、だからこそ振り返ってみたときに煌めいていたように感じるのだと思う。もう戻れないからこそ、手を伸ばしたくなる。



「真咲?どうしたの、ぼーっとして。もう映画終わったけど」


そう声をかけられると同時に横から顔を覗き込まれて、ハッとする。不思議そうに私を見つめる渚の顔を見て、私の家で一緒に映画を見ていたことを思い出した。



「……あー、なんか映画見てたら懐かしくなってきちゃって」

「高校時代が?」

「そう。っていってもまだそこまで時間は経ってないけどさ」



気づけば私たちはもう大学3年生になって、今ではお互い一人暮らしをしている。


ふたりとも違う県の大学に進学したから、高校のときに比べたら会う頻度はめっきり減ってしまって、今日だって会ったのは2ヵ月ぶりだった。