フヘンテキロマネスク


……そうだった、鈴本くんってこういうとこあるんだよね。ナチュラルに女の子扱いしてくれるからよく女子を勘違いさせてる。



「…ほんと、お気遣いありがとう。でも誰にでも優しくしてると勘違いされちゃうよ?」

「……、別にいいけど」

「え?」



ボソッと呟くからよく聞こえなくて聞き返す。すると、ふいに鈴本くんが前に向けていた顔を私の方へと向けて、じっと見据えてくる。



「くるになら、勘違い、されてもいいよ」



一瞬も逸らすことなく、あまりに真剣に見つめてくるから、『どういうこと?』と聞き返すことも憚られて口を噤む。


鈴本くんがどういう意味でそう言ったのかはわからないけれど、考えてもわかりそうになくて、その場を取り繕うように曖昧に笑った。


―――途端、頬を片手でつねられる。



「考えること放棄するな流そうとするな涙の跡つけたまま笑うな」

「いたたたた!待って今早口すぎてわかんなかったんだけど、」

「別に?ただムカつくなぁって思っただけだよ」



にこり、一寸の狂いもない綺麗な笑みを浮かべて小首を傾げる。完璧な笑みなのにどうして不穏な気配がするんだろう。