白の悪魔と黒の天使

…ん?

回らない頭で、今の事を理解するのに必死だった麗華が、ふと、我に返った。

寝室こそシンプルで、特に気にしてなかったが、リビングダイニングの広さと、部屋に置かれている高級であろう家具一式。

いくら高給取りの黒瀬と言えども、これは別格だ。

「…黒瀬さん」
「どうした?」

「…このマンション、おいくらです?」
「ぶしつけだな」

「…すみません、ちょっと気になって」
「…さぁ…月、4、50万くらいだったか」

黒瀬の答えに、麗華は固まる。

無理もない。普通の給料じゃ、家賃すら払えない。

「え、営業部のエースとなると、お給料も破格なんですね」

ボソッと呟けば、黒瀬は困ったような顔をした。

「…普通だろ」

そんなわけはない。

とは、麗華は言いそうになったが、口をつぐんだ。