既にたくさん持っている私の腕の中の本に、フワリくんの手が伸びてきた。
「……重い、しょ?」
「…、」
私が持つ本を、1冊1冊、自分が持つ本に重ねていく。
そんなに持ったらフワリくんのがすごく重くなっちゃうよっていうくらい、どんどんどんどん取られていく。
もしかして、全部1人で持つつもり?
全部持たれたら、フワリくんと一緒の仕事はもう終わりになっちゃう。
一緒に職員室まで行けなくなっちゃう。
「…あ、もう、」
「こんくらい、……持て、る…?」
もう大丈夫ですって言おうと思った声は、フワリくんの声に消された。
私の手の中にはたったの5冊。
フワリくんの手の中には多分……20冊以上。
「……持て、ます…」
「……ん。」
私にも本を残してくれたのが、嬉しかった。
一緒に職員室に行こうって言われてるみたいで、嬉しかった。
どうしよう、私、今度は嬉しくて泣きそうだ……


