突然現れたフワリくんに、持っていた本を危うく落としそうになってしまう。
「セクハラってお前。俺はなぁ、校長にこき使われてだなー、だから代わりに、可愛い可愛い教え子をこき使って憂さ晴らしをしてる最中なのー」
「えっ」
なんだそれ!っと思うのに、フワリくんがいることによって言葉はでない。
声の出し方が……急にわからなくなってしまった。
「ん?なにお前、いつもみたいにギャーギャー反抗しないのか?つーかなに急に大人しくなってんだよ」
「!?」
う、うるさい、バカ!
フワリくんがいるから話せないってバレちゃうじゃん!
「まぁいいや、大ちゃん、それ持ってくの手伝ってやって。2人なら1回で済むだろ」
フワリくんと一緒にお手伝い!?って、心臓が一層速度を上げていく。
ドドドドドドドド!って、感じたことのない音が全身を駆け巡る。
「、…」
フワリくんが、のんびり倉庫に入ってきて……
棚の前まで来ると、置いてある本を一気に持ち上げた。
いつもみたいにシャツを捲くってる腕が、重い本を持ち上げて筋が通った男の人の腕になっていく。
かっこ、いい……
華奢に見えるのに、意外と筋肉あるんだなって、
本当はじっと見たいくせに、心臓がやっぱり体全部で音を出すから全然無理。
チラっと見て、逸らすだけ……


