「あずりん先輩は、彼氏いるんですか?」
ずーっと気になっていたこと。
ずーっと気になっていたのに、聞く勇気がなかったこと。
私に見かねたのか、それとも話しの流れ的にか、ヨッコが目の前でその道を開いてくれた。
「いるように見える?」
「えー、いそう、だけど…」
髪が短くて背も高いあずりん先輩は、女子から見ればかっこいい。
サバサバしてるっていうか、細かいことは気にしないっていうか、豪快な性格はきっとみんなの人気者。
「あずさはねぇ、彼氏はいないよ」
彼氏は、いない。
彼氏、は……?
えっ、それって。
「じゃあ好きな人とかは?」
もしかして、フワリくんとは友達だけど、本当はフワリくんのことが好きなのかなって。
フワリくんに片想いをしているのかなって。
恋する乙女の頭の中は、いつでもどこでもマイナス思考。
単純な私の頭は、特に……。
「……。」
「……。」
「……。」
謎の沈黙。
えっ、好きな人、いる、の……?