自分の気持ちは棚に上げて、私以外誰も好きにならないでって。
到底無理なお願いを、何度も何度も無意識に唱える。
そんな自分勝手な私の思考に、バチが当たったのかもしれない。
教室に駆けこんできた谷ぽんが、血相を変えて私の所にきた。
「ななっ!」
聞かなくても分かるのは、フワリくん絡みの話しだってこと。
そしてそれは、よくない知らせだってこと。
「あのね、今4組の、中学が一緒だった子と学食でご飯食べてたんだけどね」
言い辛そうに眉を下げている谷ぽんの、話しの続きが気になる。
だけどその続きを聞くのが、怖い。
「その子がね、……好きな人が出来たって、言ってて…」
「好きな、人……?」
「それでその友達がね、“あの人!”って教えてくれたのがね…」
そんなのもう、続きを聞かなくたってわかっちゃう。
「フワリくん、だったの……」
「、…」
「フワリくんうちらの傍でご飯食べててね、……あのね、その子ね」
ヤキモチとか嫉妬とかじゃない。
この感情は、なんだろう……
「フワリくんともう知り合いみたいで、なんか……普通に仲良く、話してた」
「、…」
「最近、……何週間か前に勇気だして初めて話しかけて、それからは毎日頑張ってアピールしてんだーって……言ってた」
分かってる。
分かってる、その子が悪いんじゃない。
だってその子はフワリくんが好きで、私には出せない勇気を出しただけ。
私がなにもせずに、うじうじしているのが悪いだけ……


