「食ってる?」
「ハイ、」
チャーハンは、フワリくんの前ではまだ、豪快には食べられない。
少しずつ、一生懸命食べては飲み込む。
今はまだ、それが精一杯……
「昨日、ななちゃんから、初めてLINEきたとき、」
「、…」
「お。って、思った。」
「お…」
昨日、打ち上げ会場のカラオケで、私たちはやっと番号交換をした。
家に帰って何度も繰り返し見た、『大原先輩』の名前。
登録された名前が嬉しくて、お風呂の中でもベッドの中でも、夢の中でもニヤケてた。
「ほんとは、もっと早く、……番号、聞こうとしたこと、あったんだけど、」
「え、いつ、ですか?」
「体育祭んとき。」
体育祭って……そんな、前?
「声は……掛けたけど、ダメ、だった。」
「、…」
声を掛けたって……いつの、こと。
「あ、食って。って、俺が話しかけっから、止まんのか。」
「、…」
フワリくんは、もうラーメンを食べ終わってる。
あとは私が、チャーハンを食べ終えるだけ。
無事にチャーハンも完食して、食器を返却口に戻す。
『ごちそうさんでした』ってフワリくんの声に、『おー、ガラス割るなよー』って、食堂のおじさんの言葉が返ってくる。
どうやら、『直人暴走事件』は、ものすごく有名な話らしい……。


