部屋の横に立ったまま……一歩も足が、動かない。
きくりんが今、どんな気持ちでいるのか。
つい数時間前までの、恋が終わったと思っていたときの私と、同じような気持ちだとしたら……
今はなにも、言えないよ……
「俺らが卒業するまでに」
「、…」
「絶対俺も、彼女作ってやる」
「…、」
「しかも高橋より、可愛い子」
きくりんが、笑ってくれる。
いつもみたいに、笑ってくれる。
ありがとうって思うのに、ありがとうも言っちゃいけない気がして……
結局なにも、言えないまま。
じゃーねって笑ったきくりんは、私たちの隣の部屋に入って行った。
「、…」
わかってる。
私が悪いわけじゃない。
きくりんが悪いわけじゃない。
もちろんフワリくんだって、悪くない。
誰も悪くないから……だからこんなに胸が苦しい。
ありがとうって、何度も心の中で思うしか、出来ないけど……
今はきっと、それだけでいい、……はず。


