「どうしたの?」
「昨日ね、うちらフワリくん見た!ていうか話した!」
「えっ!?」
朝イチにどんな報告かと思ったら、フワリくんに会いたい病末期の私には痛すぎる……。
「は、話した、って…?」
それは一体何語で、なんて、何秒、なん、なん、……
「あの人ね、旗係らしいんだけどね」
それはもう、知っている。
「なぜか昨日講堂の、私たちのパネル係のとこにいたの」
それは私の、知らない情報。
「でね、サボりかなーって思ったらね、違うみたいで!」
「もうね、やばいよ!」
もゆぴーと聡美が同時に説明したがっていて、私の耳は両方の声に必死に縋る。
「フワリくん絵がすごい上手いらしくてね、パネル係の下書きも頼まれて描きにきてたんだって!」
「パネル係の絵も旗係の絵も、両方描いてるんだって!」
大興奮の2人から飛び出す情報は、私の頭に何度も響く。
絵が上手い。
パネルも旗も、両方描いてる。
フワリくんイケメン。……あ、これは言ってないか。


