「残念ながら、今はイチャイチャする時間じゃねんだよ!みんなで歌って踊る時間!さあ次はなに!なんの曲!」
テーブルに置いてあるマイクを取って、歌う準備満々で、仁王立ちのあずりん先輩。
なんの曲だろうって、みんながテレビの画面に注目する中、映った曲名は……『酒と泪と男と女』。
「この曲、知らん……。」
「あ、入れたの俺!」
あずりん先輩のマイクを奪い、雄介先輩が渋い歌を大熱唱。
気持ちが入っているからか、……うまい。
「ふは、うめー、」
「、…」
隣のフワリくんは大爆笑。
つられて私も、大爆笑。
サビだけ知っているからか、あずりん先輩も途中からもう1個のマイクを持って、雄介先輩と肩を組んで歌いだす。
『飲んで~飲んで~飲まれて~飲んで~~』って、肩を揺らして歌う……中で。
「、…」
「……。」
イスに置いていた手が、フワリくんの手とぶつかったのは……偶然、かもしれない。
だけど……あずりん先輩に見えないように、ぎゅーーーって握ってくれたのは、偶然じゃない。


