ドクンドクンなんてもんじゃない。
バクンバクンなんてものじゃない。
本気で壊れそうな心臓の音が、体中を駆け巡る……
「ようこそ、すぐるくん」
「……。」
どのタイミングで……なにを言えばいいのか。
分からなすぎる。
「ところで高橋。1-3って今日打ち上げすんの?」
まるで何もなかったように、あずりん先輩が関係ない話を振ってくる。
「しま、す、…」
「あらそう」
私の答えを聞いてすぐ、あずりん先輩はどこかへ歩き出して……
「私ちょっと電話してくる」
「え、…」
「いやね、私3-2の打ち上げの幹事やってんのよ。で、ちょっといいこと思いついたから、それを知らせるために電話しなきゃなの」
「は、……おま、え……なんで俺、呼んだ、」
「あー、すぐるとの話は電話のあとでいいや。つーわけで私が戻るまで、そこのお嬢さんと時間潰してて。じゃあ失礼」
電話をするフリをして、図書室から出て行こうとするあずりん先輩。
スマホを耳にあて、『打ち上げなんだけどさー』って声を響かせながら……あっという間に、本当にいなくなってしまった。
「……。」
「、…」
どう……しよう。
腫れた目は見られたくないから、顔を上げられない。
でも、そんなことを言ってる場合でもない。
突然作られた2人きりの空間は……想像以上に、気まずい。


