校舎の中の、廊下を歩く。
誰もいない廊下だけど、あずりん先輩がいるから今日は全然怖くない。
3階にある図書室に入ったあずりん先輩は、真っ直ぐに、奥にある窓へ向かった。
図書室の窓からはグラウンドが見えて、その窓にもたれるように外を見ていたあずりん先輩だけど、
顔だけをこっちに向けて、私に座れと促した。
「失礼、シマス、…」
近くのイスに座った直後、あずりん先輩が窓を開けたから……グラウンドにいる生徒たちの、賑やかな声が響く。
後夜祭が終わって、みんなが打ち上げに向かう、そんな声。
なにかがあったようで……なにもなかった学園祭。
なにもなかったんじゃなくて、……なにも出来なかった、学園祭。
今はまだ怖くて、あずりん先輩みたいに窓の外を見ることも出来ないし、
恋の傷だって、まだまだ癒えそうにないけど。
でも、本当に、全部が終わった。
なにもかも、全てが終わった……
はずだった、のに。
「見っけた」
「、…」
あずりん先輩が、大きく息を吸い込んで。
「すーーーぐるーーー!」
まだ、大好きなままの、恋しい人の名前を……呼んだ。


