息がうまく出来なくて、視界がぐちゃぐちゃな中……
私の心は、あっという間にあずりん先輩に掴まれた。
「よし、ついてきて」
「、…」
どこに……連れて行かれるのか。
わからないまま、手を引かれるまま、グラウンドに背を向けて歩きだす。
校舎のほうに向かう足は、迷うことなくどんどん進む。
「お嬢さん、私の映画、観に来なかったでしょ」
「、、…」
ごめんなさいとしか、言えない……
辛くて悲しくて、それどころじゃなかったから……
「まぁいいさ。今度ブルーレイにしてプレゼントしてあげる。大事にしてね、私の初主演映画」
「、…ハイ、」
ぎゅっと引かれる手は、温かい。
友達の手も、スー先輩の手も、あずりん先輩の手も……
フワリくんの手も……
みんなみんな……温かい。
「、……あの、……どこへ、」
向かっている先は……どう考えたって校舎の中。
生徒たちは誰もいない、暗い、校舎の中。
「静かな場所でお話したいじゃない。だって今日で学祭終わりよ?なのに全然お嬢さんとお話できなかったんだもん。私ね、好きな子とはいっぱい話がしたいの。嫌って言われてもしたいの。だからお嬢さんに嫌っていう権利はないの。わかった?」
「……ハイ、」
嫌なんて言うつもりはないけど……嫌と言わせないあずりん先輩は、やっぱりすごい。
これくらい自分の気持ちをスラスラ言えたら、私もフワリくんに、好きって言えたのかな……


