『只今より後夜祭が始まります。全校生徒の皆さんはグラウンドに集合してください』
校内放送で流れる、実行委員の声。
学祭も……もうすぐ終わる。
「行ける……?」
「ハイ、」
後夜祭は全校生徒が集まるから、きっとフワリくんに会わないで済む。
『大丈夫』……そう言い聞かせるたび涙が滲むけど。
グッとしまって、立ち上がる。
大丈夫。
ひたすら言い聞かせて、グラウンドへ歩きだす。
見えたグラウンドでは、キャンプファイヤーが燃えていた。
暗くなりかけている空に、赤い炎が揺れている。
「私、友達探してみます、」
「うん、じゃあ後夜祭楽しんでね」
何度もお礼を告げて、スー先輩と別れた。
後夜祭はもう始まっていて、全校生徒がグラウンドで大盛り上がり。
本当にすごい人数で、自力では友達を探せそうもない。
『みんなどこにいる?』
グループラインを開いて、みんながどこにいるのか確認。
その間、ステージ上では色んな部門の表彰をしている。
ガクバケは、私の校舎が負けてしまったみたい。
負けた校舎は、記念品は貰えない。
でもこれでいい。
記念品なんて貰ったら、きっと見る度に思い出しちゃうから。
『今ね、キャンプファイヤーの近くにいるよ』
『私はトイレの近くだよー』
『誰も見つからない、みんなどこー』
続々と、女子たちからのメッセージが届く。
みんなバラバラにいるみたいで、どこに行けばいいのか迷う。


