「春田せんぱーい、後夜祭の準備始めますよー!」



学食の入り口で、実行委員の人が春田先輩を呼んでいる。



「おー、今行くー」



じゃあねって笑って、春田先輩は行ってしまった。


スー先輩と残された学食で、静かになった空間の中、もう1度顔を伏せる。



チョコパンを覚えていてくれたことに、胸が熱い。


熱くて痛くて……ぐちゃぐちゃすぎる。





それからずっと、スー先輩と一緒に学食にいた。


せっかくの学祭なのに、こんなところでなにもしないまま。


私はいいけど、スー先輩にとっては最後の学祭。


申し訳なくて、何度も謝るけど。


これもいい思い出だしって、スー先輩は笑うばかり。


本当に優しいから、……甘えてしまう。



結局あずりん先輩の映画も見れなくて……他のクラスも見て回れないまま。



ぐちゃぐちゃな心境のまま、もう……外は夕暮れだ。