「大原先輩、テレビ、……」
「……。」
「、…」
あずりん先輩たちも一応お客さんだから、テレビをつけなきゃなのに……フワリくんの手が、全然動かない。
なにかを考えてる、横顔が見える。
なにを……そんなに真剣な顔で、考えてるの。
「アノ、」
「……演技、」
「、…」
「……なの、?」
私に……聞いて、る?
「……ななちゃんも、……演技、」
「、…」
「して、た、?」
「ぇ、…」
停電のときに暗闇を怖がってたこととか、さっき頭をぶつけたこととか。
それ以前に、コピーした紙を学食に忘れたこととか、体育の授業で点数盤を片づけちゃったこととか……
その他諸々の失敗談。
全部、演技でわざとやったって、思われてる?
あずりん先輩が嫌いな、演技派女だって、思われてる?
「、して、た?」
「、…」
それを直接確認してくるフワリくんも、すごい、けど。
演技をしてたとして……そうですって、素直に答える女の人なんて、いないと思う、けど。
多分……真っ直ぐに私を見て聞いてくるフワリくんは……真剣。
真剣なフワリくんに、変な誤解は、されたくない。
「、……して、ません、」
「…、」
「そんな演技力、……ない、デス、」
演技でわざと気を引いてたなんて思われたくなくて……私なりに必死で、誤解を解いたら。
暗闇の中、フワリくんの肩の力が、ふわっと、抜けた……


