なにが……
「、ずるいって……、なにが、……デスカ、」
優しく頭を撫でてくれる手が、私の声に、動きを止めた。
「教えない。」
「…、」
「教えない」って、暗闇に浮かぶフワリくんの笑顔が、あんまりにも可愛くて……胸が異様なくらいドキドキ鳴る。
頭に乗っている手が、また、ゆっくり動きだす。
「あたま……冷やし、行く、?」
「、…」
「…ん?」
「あ、……ぇ、?」
あんまりにもドキドキして、話を……聞いてなかった。
「あたま、……冷やさなくて、大丈夫、?」
「、ぁ……ダイジョウブ、デス、」
「ホント、?」
「、…」
「なんか、……ボケぇっと、してね、?」
「…、」
それは……頭を打ったからじゃなくて。
フワリくんに、ドキドキしてたから、です。
「可哀想、……だな、」
「、…」
「でこも、……頭も、」
魔法みたいなフワリくんの手は、……頭の痛みを、キレイに無くす。
ぶつけたところを的確に、フワリくんの手がいつまでも撫でてくれるから……
目の横を通るフワリくんの腕が近くて、……どうすればいいのか、わかんない。


