リモコンもなにも持っていない私の手は、なにかをしていないと落ち着かない。
だけどこの狭い机の中に、手を使うものなんて、リモコンの操作ぐらいしかない。
手持無沙汰な右手は……さっきフワリくんが触れたおでこを、撫でてみる。
たんこぶにはなってないけど、……押すと、まだ鈍く、ズキンって痛みが走る。
「痛い?」
「、…」
「こぶ、…なって、きた?」
「イエ、…」
痛いのは多分、時間が経てば治るけど。
なんか……フワリくんが。
「…、、」
「……」
心配してくれつつ、笑いを……堪えてる?
「、、、……結構……激しかった、から。……ゴツンて、」
絶対、私がおでこをぶつけたシーンを、思い出してる。
フワリくんは笑いを堪えて……声を殺すのに、必死。
「相当、……痛かった、……、、で、しょ、」
「……」
「、、、…」
バカな子だって、思われても。
「ななちゃ、……おも、し、ろ、、」
「……」
バカな子だって、笑われても。
そんなのもう、今はどうだっていい。
今はもう……このまま、時間が止まっちゃえばいいって。
フワリくんが、愛原さんのところへ行けないように……
私の隣からいなくならないように……時間が、止まってほしいって。
そんなことしか考えられない。


