「ななちゃんは、」
「……」
「そこにいてくれたら、……そんだけで意味、あるし、」
「、…」
リモコンをいじるフワリくんの横顔を、つい見てしまった。
いるだけで意味があるなんて……そんなこと、あるわけない。
いるだけで意味があるのは……私じゃなくて、愛原さんでしょ?
「あ、冷やす、?」
「え?」
「おでこ、…」
フワリくんの手が私に伸びてきて、……おでこに、触れた。
「こぶ、なってない、けど……」
「…、」
「痛いなら、冷やしに行って、いーよ、」
たんこぶになってないかを確かめた手は、すぐに離れていくから……ほんの一瞬の出来事、だけど。
「ダイジョウブ、デス……」
「…、」
「ここに、……イマス、」
なにもやることはないのに、フワリくんの隣にいると、忙しい。
胸の中の色んな感情が、私をいつも忙しくする。
「うん、……じゃあ、ここに、いて、」
「、…」


