「、このボタン、とか」
「それ、HDDのほう、でしょ?」
「じゃあこれ、」
「それは、多分、録画。」
暗くて、ボタンの小さな文字が見えにくい。
全然、心霊写真なんて流れない。
「見て、落ちてる写真、全部心霊写真になってる」
「やだー、もう行こう!怖い、もう出よう!」
「うん、出よう出よう!」
「……。」
「……。」
行っちゃった……。
「まじか……。」
「、…」
お客さんが出て行って、2人して苦笑い。
せっかくのメインがなにも機能しないって、どうなんだろう。
「このリモコン、……むずい。」
「、…」
ボソッと言うフワリくんが、可笑しくて、可愛くて。
胸の中がきゅーって、締め付けられる。
「お、なるほど。」
むずいとか言ったのに、数秒後にはもう使いこなしたみたい。
「あの、」
「……ん?」
「私も、やらなきゃ、なので、…やり方、」
教えてもらわなきゃ、多分、わからない。
「いーよ。」
「、…」
「ななちゃんは、おでこ、いたわってて、」
いーよって、言われても……
じゃあ、私がここにいる意味が、なくなる。
探したって、この机の中で、やることなんてなにもない。
「私……ここにいる意味、が、……なく、なる、ので、」
私にも、リモコンの使い方を……教えてください。
少しでも長く、フワリくんの隣にいられるように……ここにいる意味を、私にください。


