近くまで来ているお客さんの声に、フワリくんが慌てて私を机の中に押し込もうとする。
背中をグイグイ押されて、だから私もすごく焦って。
やっと入ったら、フワリくんも中に飛び込んできた。
「あぶね、」
「、…」
意外と……狭い。
ぶつかりそうな肩と肩が……ぎこちなく、離れてる。
多分フワリくんは、なにも気にしてないけど。
想像以上に狭い机の中で、フワリくんがボソボソ言う。
「んだこれ、……電源、ついてない。」
「、…」
本当は、試しに何度かDVDをつけてみる時間だってあったはずなのに。
私がおでこをぶつけたばっかりに、このままじゃ、ぶっつけ本番になる。
ていうかもう、お客さん、入ってきたし……。
「……つかない……。」
「え……」
テレビが……つかない……。
「うわー、この部屋、気持ち悪いねぇ…」
「写真がいっぱい落ちてる……」
部屋の中は相当気味の悪い作りになっているから、それだけで怖いだろうけど。
メインの心霊写真の映像が……始まらない。


