「血は、出てないな。」

「、…」



私の両手をおでこから離して、じっと観察してくる。



「たんこぶに、」

「…、、」

「なるかもしれな……、」



その途中、おでこから下がって来た視線と目が合って……



「ぅ、ぁ、……、ごめ、」

「…、、」



ふっと、……目の前で、逸れる視線。


私の心臓は……もう止まりそう。



「…、」

「、、、…」



フワリくんにパッと離された手は、また、おでこを触る。


痛いけど……それを感じないくらい、体が熱い。



ドクドクと鳴る心臓に、体の火照りが収まらない。


おでこを押さえるふりをして、恥ずかしくて顔を隠す。



そして私たちは、大事なことを忘れてる。


すごくすごく、大事なこと。


それを思い出したのは、廊下の奥から、お客さんの叫び声が聞こえたから。



「、!」

「やば、隠れなきゃ、」



今、自分たちがやらなきゃいけないこと。


すっかり忘れてた!