だけど現実は、ドラマや漫画みたいにうまくはいかない。
どこを捜しても見つからないフワリくんは……もしかしたらもう、家に帰ったのかもしれない。
広い校内で……オレンジの夕焼けが眩しく差しこむ。
明日が、ある。
この太陽が明日また沈む前に……絶対に伝えよう。
絶対に、全部伝えて……ちゃんとした、終わりにしよう。
家に帰ってスマホを見ると、ヨッコからの着信履歴がすごいことになっていた。
勝手にいなくなって勝手に帰ってきちゃったから、相当心配かけたのかもって。
折り返しで電話をかけたら、「ごめんね」っていう私の声より先に「どうしよう!」ってヨッコの声が聞こえた。
『どうしよう、ねぇどうしよう!』
「なに、…」
なにかあったの?
『なんか、……なんかね、……菊地先輩と、付き合うことになった!』
「……」
驚いて……口が空いたまま、言葉が出ない。
『どうしよう、ねぇ、私どうすればいいの!?』
「え、……な、ん、……なに、」
友達の一大事に、頭は混乱。
だってヨッコの恋が……実ったって、こと。


