名前を呼んだきくりんが、私が見てた場所を確かめるように窓の外を見た。
2階から見える校庭にいるのは……愛原さんと、そのお友達たち。
うさぎの耳を嬉しそうに触って、友達にきっと自慢している。
彼氏にもらったんだって、聞こえてきそうなその表情が……私の気持ちを、悲しくする。
「あれって」
「、…」
「大原先輩がつけてた耳……だよね」
どれだけ、見てるんだろう。
きくりんは……周りを、どれだけ観察してるんだろう。
「ほんとだ、」
「……」
「大原先輩の、だ、、」
唇をぎゅっと結んで、きくりんに言われたから気づいたみたいに笑って、うさぎの耳をじっと見た。
さっきまで、私の頭に乗っていたうさぎの耳……
フワリくんが……愛原さんにつけてあげたの、かな。
勝手に想像して、勝手に泣きそうになる私は、バカみたい。
「……泣く、?」
「…、」
笑ったって、無理矢理なら、惨めなだけ。
バレるくらい無理矢理の笑顔は……余計に自分を虚しくする。


