1人でふらふらとした。
学祭なのに……1人だけでふらふら。
気持ち的には泣きたいのに、学祭の浮かれた空気が涙を寸のところで食い止める。
歩く廊下も、すれ違う生徒も、聞こえる音も、全部が浮かれてるんだもん。
どれくらい、1人でふらふらしてたんだろう。
多分、2時間くらい。
気づいたら、オレンジの夕焼けが窓から見えた。
もう、学祭1日目が終わる。
明日……2日目が終われば……本当に、フワリくんとの時間は減る。
廊下で、学食で、玄関で……偶然だけが、フワリくんとの時間になる。
そのあとはきっと、あっという間にフワリくんは卒業しちゃって……偶然も、なくなっちゃう。
体育祭で同じチームになったり、ガクバケで放課後に作業、なんて……本当にすぐ……本当の思い出になっちゃう。
そしたらきっと、いつの日か、好きって気持ちも自然となくなる、はず。
恋は……また、出来るのかもしれない。
林先生みたいに、人生で最大の恋じゃなくたって、新しい誰かと幸せになれるのかもしれない。
でも……じゃあ、今のこの気持ちは、なに。
こんなに好きなのに。
大好きなのに。
この想いはいつなくなって、どこに消えちゃうの。
好きって伝えてないのに、消えちゃうの……?


