「グラウンドのゲーム、優勝した人のクラスに賞金でるんだって」
「へー」
「打ち上げ代ぐらいはもらえるらしいよ」
「結構な額だね」
明日の後夜祭のあとは、ほとんどのクラスがそれぞれに打ち上げをする。
私たちのクラスはみんなでカラオケに行くって言ってたっけ。
「では最初のバンドメンバーを紹介します。えー、この日の為にたった2週間前に結成された、バンド名『練習不足』。しかし昔から各々に楽器演奏はしていたらしく、練習を聴いた生徒からの前評判は抜群。ギターの菊地くん、ベースの山本くん、ドラムの雄介くん、ピアノのスーちゃん。そして超嫌々ボーカルにされた大原くん。3年2組の5人による、爽やかミュージックをどうぞー!」
「……」
え……?
ステージ下で大盛り上がりの生徒たちの、上。
ステージ上に……あの5人が……立っている。
しかもフワリくんは……うさ耳をつけたまま。
「なに、これ」
「知らない、」
なに……バンドって……
ボーカルって……うそ、フワリくん歌うの!?
「きゃー!スーちゃーーん!」
「……、」
突然隣に現れた、あずりん先輩。
私の腕をガシッと掴んで、もういっこの手はスー先輩に向かって飛び跳ねながら振っている。


