学園祭1日目。


開会式の時間、全校生徒が仮装姿で講堂に集まった。


気合の入った格好の人がたくさんで……360度、どこを見渡しても愉快な光景。



「なな、写真撮ろー!」

「うん、撮ろう撮ろう」



私たちのクラスの仮装のテーマはジブリ。


ミネはもののけ姫になっていて、もゆぴーは魔女の宅急便。


ヨッコは千と千尋の神隠しの千尋で、聡美はナウシカで、私はラピュタのシータ。


男子たちもトトロとか顔ナシとかアシタカとか、見ているだけで面白い。


フワリくんは……どんな仮装をしてるんだろう。



「撮るよー、3、2、1!」




いっぱい写真を撮った。


いい思い出が残るよう、……未来の自分のために。



「フワリくん、いた?」

「…いない、」



いない……って、答えられる時点で、捜してるってこと。


終わらせるとか思いながらも、目ではしっかり捜してる。


全校生徒が集まる講堂は、人数が多すぎるのに。


気持ちとは裏腹に、目は、いつでもどこでも……フワリくんのことを、捜してる。




「お下げちゃーーん♪」

「、…」



シルクハットを被って、パーティー用のスーツを着ている山本先輩。


……の、もっと向こう。


うさ耳を付けて、チェックの衣装を着てる……フワリくんと、目が合った。