「まださ、彼女って決まったわけじゃないんだから…」

「……うん、」



2人で目撃してしまった光景に、胸がグリグリとえぐられる。


オレンジが差し込む夕陽の中で、目頭に涙が込み上げてくる。



「……、…」

「大丈夫だよ、手とか、繋いでなかったし…」



あっけなく終わってしまうのかもしれない。


あっけなく、なにも始まらず、私は失恋するのかもしれない。


必死に我慢してるのに、涙がぽたぽた落ちてくる。


ヨッコが一生懸命励ましてくれるのに、私の耳には上手く届かない。



手は繋いでいなかった。


だけどそれが、付き合っていないっていう証拠にはならない。


そんなこと、高校1年生にだってわかるんだよ。


付き合っていない男女2人が一緒に帰ること、私はそんな経験ない……


それとも高校3年生の大人になれば、そんなことも普通なの…?



どうしよう、止まんない、


胸の痛みも涙も全部、止まんない。



好きなんだもん、


大好きなんだもん……



彼女なんて、


やだよ………